2015年5月3日日曜日

在りし日の思ひで《3》

人間は古来から社会的動物であると言われてきましたが、そのせいで一体どれほどの無駄な苦労をしてきたことでしょう。他の三人についてはわかりませんが、僕は個人的に、このまま部活を退いてもいいと思っていました。二年生からは本格的に受験勉強を始めたかったし、毎日地獄をさまようような生活にはほとほと疲れ果てていました。
そんな僕の目の前に現れたのが、いっこうえの先輩です。「おまえら、まさかこのまま辞めないよな?毎日便所掃除でもして、先生に誠意示して戻ってこい」そう言って、励ましのつもりか、コーンスープを渡して去って行きました。こうなってしまっては、ほとんど選択の余地などないのです。自分で書いていてもおかしな話ですが、僕は当時、自分の感情を殺すことが当たり前のように考えていました。
早速僕らは、体育館のトイレ掃除を始めました。しかし、そこは生徒しか利用せず、僕らの頑張りを先生に伝えてくれそうな人は誰もいなかったので、2日でやめました。自転車置き場の掃除をしてみても、業者のおばちゃんに感謝されておしまいでした。
だからと言って、先生に向かって自分たちの活動を報告するのはあまりにもナンセンスでした。こうなってくると、もはや道は一つしかない。試走での借りは、本番で返すしかない。僕たちは目前に迫っていたマラソン大会に向けて、士気を高めていきました。

こうして迎えた本番当日は、今にも雪が降り出しそうな冬の1日でした。吐く息が、白く光っては消えました。僕たちはスタート地点に立って、そして走り始めました。


僕は、あのレースを今でも思い出します。もしも、あのレースの結果がもう少し違っていたら、今の僕はどうなっていたのだろう。僕はタフスイムには入っていたでしょうか。いや、そもそも、この大学に入っていたでしょうか。

僕の結果は、47位でした。他のみんなが一桁、あるいは20位以内に食い込んで学年表彰を受けている中、僕はそれを、なぜかしたり顔で、拍手する側の人間でした。そしてこの結果が、僕たちの未来を二つに分けたのでした。《続く》

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